最高裁判所第三小法廷 昭和29(オ)117 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人相見史郎の上告理由第一、について。
論旨は、(1)原審の証拠の取捨、事実の認定が論理の法則並びに経験則に違背
すること及び(2)証拠の取捨につき理由を示さないのは理由不備であることを主
張するに帰する。しかし、(1)論旨引用の各証拠があるからと云つて、これを採
つて所論の事実を認定しなければ論理又は経験則に反するとは云えないし、(2)
また、証拠の取捨について逐一その理由を判示することを要するものではないばか
りでなく、原審は所論Dの供述並びにEの鑑定については「後記各証拠に照らすと
きは」信用或は採用し得ない旨判示した上、その「後記各証拠」を掲げてこれを綜
合して、甲第二号証が名義人たる被上告人(控訴人)によつて作成されたものでな
く、訴外Dによつて被上告人の氏名を冒書して作成されたものである事実を認定し
ているのであるから、証拠採否の理由を所論のように示さなかつたと云うことはで
きない。
同第二点について。
第一審における被上告人本人尋問に対する供述中所論の部分は、右本人が兄弟で
ある訴外Dのために問題の保証をしなかつた理由として述べられているので、供述
全体から見て「他人」のうちに兄弟をも含む趣旨を観取し得るし、原判決挙示の第
二審における右本人の供述(「個人の保証は禁止され」となつている)を綜合すれ
ば、その趣旨は益々明らかである。されば、原審が「他人」なる語を右のような趣
旨に解して事実認定の資料としても、所論の違法はない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
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おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 垂 水 克 己
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